“Webサービスのつくり方” は大学生こそ読むべき
大学生に限らず、専門学校生とか高校生とかも。
とにかく「Webサービス」だとか「プログラミング」だとかに興味があるんだったら読めば良いと思います。
言い方は雑かも知れませんが、「とりあえずの1冊」になり得る書籍という印象を受けました。
勧める理由
「Webサービスのつくり方」 という割とライトな書名で“Shut the fuck up and write some code” (グダグダ言ってないでソース書けよ、ハゲ)
という言葉を紹介しているのは、
「これを読むだけでWebサービスがつくれるんでしょ? わーい」
みたいな軽い気持ちで手に取った読者の気を引き締めてくれると思うので大変ナイスです。僕も引き締まりました。
あと、Webサービスのつくり方について「最初(企画)」から「最後(運用)」まで網羅的に説明されているのはタイトルに偽りなしで良いですね。
「Webサービスのつくり方」というと巨大で途方も無い感じがしますが、本書籍のように細かく噛み砕いて説明してあるとその全体像が掴めるので、
「Webサービスを作りたいけど何をやれば良いのかわからない」みたいな疑問が晴れるのではないかと思いました。
またこの書籍の特徴的な点は、具体的な実用例・応用例が多く *1、 ソースコードと共に解説されているので、さながら本によるワークショップのようです。
写経するだけでも、Webサービス制作を追体験できるので良いのではないでしょうか。
プログラミング (というよりもPerl?) の勉強にもなりますし。
「プログラミングとか何の役に立つのかわかんねーよー」みたいな大学生:読むべき
多分そういう事をのたまう人は“Hello, world” を表示するとかフィボナッチ数列を求めるプログラムとかしか書いたことが無いか、あるいはプログラムを書いたことが無いか、もしくは誰かのソースコードをコピペして課題をパスしていたのだと思います。
まず「おっぱい画像を効率的に集める」みたいなプログラムを書いた事は無いでしょう。
書いていたら「何の役に立つのかわからん」などと言わないはずなので。*2
この書籍はそういったユニークなコード例が多いので、一回読めば「プログラムって役に立つじゃん!」という風に考え方が変わること請け合いです。
「アプリケーション (ソフトウェア) ってどうやって作るんだろう」という大学生:読むべき
プログラムはある程度書けるけれども、いざ「或る機能」を満足するアプリケーション (ソフトウェア) を作る時にどうすれば良いんだろう、という疑問は割と多くの大学生が抱いていると思います。残念なことに大学がそのことについて教えてくれるケースは稀です。*3
で、恐らくそういう人は、僕がそうだったように色々な本だとかWeb ページだとかを読むと思うんですが、
「アプリケーションを開発してリリース・運用するには何が必要で何を成せば良いのか」という
「アプリケーション開発の全体像」を把握するに至るまでには複数の資料をまたいで読まなければならなかったわけですね。
本書籍はそうした複数の書籍をまたがなければならなかったテーマに対して1冊で解答を与えてくれるので、コストパフォーマンスが非常に良いです。
タイトルには「Web サービス」と付いていますが、別にWeb サービスじゃないソフトウェアの開発でも適用できる内容だと思いました。
「(Web 系の)会社とか社会ってどうなってるんだろう」大学生:びみょう
あとがきの部分にも書かれていましたが、この本は他のメンバーと共同作業で色々やるという部分の解説が欠落しているので、「(Web 系の)会社とか社会ってどうなってんだろ」という疑問を満たす用途として読むには微妙かもしれません。
ただ、起業して1人で最初から最後まで完結させてやるぜー、みたいな人には特効薬になり得るかもわかりません。
まーそんな感じだから大学のカリキュラムに組み込めば良いのでは?
まえがきで「教科書的ではない」という旨のことを書かれていましたが、普通に教科書的に使えると思いました。とは言うものの、専門性と特殊性が高い *4 上にアカデミックな内容ではない (エロサイトとかおっぱいの話とかあるし) ので、
おカタい大学はまず無理でしょうね。
ただ、この書籍で取り扱っている内容の多くは「ソフトウェア工学」に繋がるものです。
クソみたいな「ソフトウェア工学」の講義を受講する位ならこの本を読んだほうがよっぽど有益ですよ、マジ。
なので、カリキュラムに組み込むのが無理でもゼミの教材とかにすればいいと思います。
即戦力を養成して社会に送り込む責任を担っている専門学校はカリキュラムに組み込めば良いと思いました。
「新・ソフトウェア工学」、あるいは「真・ソフトウェア工学」みたいな名前でどうでしょう。
ここからは個人的な感想です
プログラム初学者はGUI アプリケーションよりもCUI アプリケーションを書いて勉強しましょう、という部分についてはまあその通りで僕も同意ですが、これは注意が必要だと感じます。
フィボナッチ数列を求めたり、うるう年の判別をしたり、FizzBuzz を書いたりといった、
一般的に「面白みのない」とされるプログラムばかり書いていると学習意欲が削がれてしまうので、
CUI プログラムでも面白いテーマを選択する必要があると思います。*5
その点、この本で取り上げられている「おっぱいスクリプト」なんかは非常に良い題材なのでは無いでしょうか。
エロは地球を救う。
第四章でMVC について触れられていましたが、これには諸説あるので注意が必要だと思います。
(やはりお前らのMVCは間違っている とか)
あと、章タイトルの付け方がうめーなーと思いました。
“30分で作れるWeb サービス”とか言われちゃったら、そりゃー惹かれもしますよね。素晴らしい。
また、作成したサービスのプロモーションについて言及しているのはなかなかレアだと思います。
ここらへんの事情は全く知らなかったので大変勉強になりました。プレスリリースって自発的に打つんですね。
Hachiouji.pm については増刷がかかった時に修正されていると良いですね! *6
あと僕はVim が好きです。
そんな感じで
いい本でした。大学生は読めば良いと思うし、大学生じゃなくても読んで損はないと思いましたよ!!!!Webサービスのつくり方 ~「新しい」を生み出すための33のエッセイ (Software Design plus)
- 作者: 和田裕介
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2012/11/20
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「大学生こそ読むべき」って部分の本当の理由
「Webサービスのつくり方」という意識の高い学生*7 を釣れそう素敵なタイトルの書籍で、「グダグダ言ってないでソースかけよ、ハゲ」というナイスな言葉が紹介されているからです。前述しましたけれども。
大学生はソースをもっと書いた方が良い。マジで。
僕の周りだけかも知れませんが、グダグダ言うだけ言ってソースを書かない大学生があまりに多い。
(まー、そもそも大学のプログラムの授業がアレなお陰でっていうのもあるかも知れないけどね!)
好きなプログラムを好きなだけ書けるのは大学までなんじゃねえのかなー。
そのチャンスをみすみす逃してミスるのは、あまりに勿体無さすぎる。
間違いなくグダグダ言ってないでソースを書いたほうがよっぽど良い。
なので、僕はそういう事に気づくきっかけを与えてくれる (かもしれない) 本書を是非大学生にお薦めしたい訳なのであります。
- 作者: えりちん
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2010/11/29
- メディア: コミック
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