その手の平は尻もつかめるさ

ギジュツ的な事をメーンで書く予定です

ZAZEN BOYS のライブに行ってきた

素晴らしかった。

基本的に僕はライブハウスという空間が苦手だ。

煙草臭いし(でかいハコとかだと分煙化が進んでそうでもなくなってきたけれど)、
大体電波が入らないからスタンディングインターネッツも楽しめないし、
僕の苦手とするタイプの人がたくさん集まってくるし、
そもそもカップルが沢山いてなんだか泣けてくる。胸が張り裂けそうになる。

それでも音楽は好きだから、やっぱりそのミュージシャンのライブには出かけたいので、
そういう場合はある程度覚悟を決めてからライブのチケットを取る。

ライブDVD とかでもまあ良いっちゃ良いんだけれど、やっぱりあの音圧とか空気感はライブに直接行かないと味わえない。
そういうのを味わいたい時は、やっぱりライブハウスに足を運ぶ他ない。

前までは独りでライブに出かける時はよく耳栓を持って行っていた。

ライブってやつは入場から開演までが1時間くらいあって、焦らし上手なバンドとかだと更に時間が開く訳で、
独りでいるとその間やることがほとんど無い。前述の通り電波が入らないから携帯端末と戯れることすらままならない。
そうして手持ち無沙汰でただ突っ立っていると、周囲の人間の聞きたくもない会話が耳に飛び込んできて
精神衛生に著しく損害を与えていく。大体は「嘘乙wwwww」という感じの虚飾に満ちた会話だ。
そうなると折角のライブが楽しく無くなってしまうので自衛手段としての耳栓は必須アイテムだった。

ただ、耳栓には致命的な欠陥が存在している。(というかまあ、耳栓が悪いわけじゃないんだけど)
開演までのおよそ1時間、耳栓を装着したままでいるとその時間分だけ音が遮断される為、耳がその静寂に慣れきってしまう。
静けさに慣れてしまった耳は、開演と同時に爆音でかき鳴らされるディストーションギターの音量に上手く合わせる事ができなくて結果的に死ぬ。
という風なことを2年前くらいに悟ったので、最近は耳栓をやめた。
本当はコーディングなんかが出来ると良いんだけど、まあそれは無理なので代わりに酒を飲んで瞑想する事にしている。

ライブハウスには500円ワンドリンクという画期的な集金システムがあって、訪れる者はみな例外無くその餌食になる。

水を頼んでも500円だし、ビールとかその他のアルコホォル・ハードリカーを注文しても500円なので、
がめつい僕はだいたいビール或いはそれに準ずるものをオーダーする。

「この500円は小さいが、ライブハウスにとっては偉大な収入である。」

ワンドリンク500円という価格について僕はやっぱり高いと感じているけれど、
一方でライブハウス維持のための貴重な収入源だからまあ仕方ないんだろうなーとか思ったりもする。
ただ、1杯目が500円なのは500歩譲って許すとしても、2杯目以降も500円というのは如何なものかと憤りを隠せない。
2杯目以降は200円とか300円とかにして欲しいし、もっと欲を言えばタダにして欲しい。
最近のIT 企業のオフィスとかはレッドブルとかドクタァペッパアが飲み放題らしいし、
ライブハウス様だったらそれくらいできるんじゃねーの、とか無責任な事を常々思っている。

ただ、前に行ったライブハウスは600円で2杯飲めるという親切設計だったけど、
「それだったらワンドリンク300円にしろよ」とか不満を垂れた記憶があるので、
結局いくらになってもワンドリンク代については文句をたれ続けるんだと思う。
ワンドリンク代は己の覚悟を試されている額だとして、甘んじて支払うほかない、と最近は諦観している。

という感じで、ライブハウスはあまり得意じゃないのだけれど、昨日のZAZEN BOYS のライブは最高だった。

基本的に客層がオトナというか、悪い意味でガキな人が少ないからすごく落ち着いて観れる。
「落ち着いて観れる」というのは、生演奏ジャズバーみたいなところでらぐじゅありーな感じで観れる、とかそういう意味じゃなくて、
無闇矢鱈にモッシュとかダイブとかが起きないっていうそういう感じのやつです。

要は音楽を介して自分の世界に入れる。
わざわざライブを見に来て自分の世界に入るとはこれ如何に、と思われるかもしれないが
僕からしてみたらわざわざライブに来ているのに周囲の様子をうかがって、そこからはみ出ないように、浮かないようにと
周りに合わせて盛り上がっているフリをする方がよっぽど無益だと思っている。

演奏によって、そしてバンドの一挙手一投足によってライブハウス全体が良い意味での狂気に包まれる感じが物凄く心地よかった。
恐らく、間 (休符) のとり方とかが独特だからそれが生きているんだと思う。あのバンドは恐ろしい。恐ろしく良い。
恐るべきライブバンド、ZAZEN BOYS。何度ワンマンに行っても飽きない。


今年のライブ納めがこのバンドで本当に良かった。
来年もこんな感じでライブを楽しめればなー。